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映画紹介:「坂網猟ー人と自然の付き合い方を考えるー」~トークの言葉から
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猟のシーン

 

今井友樹監督の前作「鳥の道を越えて」にも登場していた、片野鴨池(かたのかもいけ・石川県加賀市)の坂網猟に特化した記録映画が完成しました。5月29日に東京都内で開催された特別公開前上映とトーク(主催:みみの会)での今井監督と澤幡正範カメラマンの話(抜粋)を交えて映画紹介をします。【取材・まとめ=宮沢さかえ】

 

今井友樹さん:記録映画「坂網猟」は、石川県加賀市にある片野鴨池で伝承されている鴨の伝統猟法の記録映像です。こことの出会いは、前作「鳥の道を越えて」で93分の中で20分くらい片野鴨池の坂網猟を紹介しました。完成した後に地元の人たちといろいろ話している中で、坂網猟に特化した作品を作れないかというように盛り上がり、3年間取材期間をいただいて完成に至りました。

3年間かかったのは、自然相手の撮影だったのと、僕自身不勉強なところばかりで試行錯誤の連続で、先輩スタッフに支えられながらなんとか完成させることができました。

澤幡正徳カメラマンには民族文化映像研究所からずっとお世話になっていて、撮影の指導を受けたりしています。民族関係の作品は、上映後にいろいろと話し合ったり映像を通じて活発な議論が生まれるとその作品が生きる、上映を通して作品が生きていく場所になると思っています。

撮影期間は片野鴨池観察館のレンジャーの自宅に居候して、1回の取材で大体3日から1週間という形で続けてきました。主に澤幡さんと2人で、常に一緒に行動してきました。お金がないので基本は東京から車に乗って、ゆっくり走って8時間くらいで加賀市に入るんですけれど、その間に相談をさせてもらったり、夜も一緒ですので、お酒を飲みながら話をしたりしていました。

 

映画のカットシーン

 

映画のサブタイトルに「人と自然の付き合い方を考える」とあるように、この映画はあくまで猟師の魅力を伝えるために作ったとは言いながら、自然との付き合い方をどういう風に考えて行ったらいいか、自分たちの足元に置き換えてこの作品を手掛かりに議論が生まれれば良いなということは、製作段階から話し合っていました。

上映会場のみなさまの声も聞きながら、みなさんがどういう風に感じるかということも、僕自身も上映後のトークを通じて学ばせていただきたいと思っています。

 

澤幡正徳さん:坂網猟の鴨の捕り方は、鴨の特性で日が暮れてから池から飛び立つので、飛び立つ時間帯は日没後30分くらいが目途なんです。そうすると、撮影するためにライトは使うな、暗闇で撮れと。「じゃあ、どうやって撮れっていうのよ」というところから、この仕事の困難さが始まりました。

ただ、3年も付き合っていると機械がよくなって感度がとんでもなく高い機械が出てきたりする時代ですので。ところが、それだと夜にならないんです。すごくざらついたりノイズが多い映像になってしまう。それでも、隠れている雰囲気などを感じられるので、この映画でも使いました。

 

シルエットが美しい猟場のシーン

 

鴨の採餌の特性が映像では1番苦しかったことで、とにかく「ライトを使うな」という伝令の下で鴨を捕まえる瞬間を撮るということになると、どうしても薄明の空のシルエット映像が撮れたわけです。このシーンは、そういった眼で観ていただければ面白いかなと思います。

その他、「1年間」というコマ撮りをやってみたり3年という時間の中で、それなりに成功した・良くなったと思います。監督の想いがどこまで実現できたか、いうところも観ていただければ幸いです。

今井監督と長編の記録映画をやったのは、この作品が2作目なんですが、2つの鳥にまつわる、命に関わる題材を選んだ監督の想いはどこら辺にあるのかというのは正直実質的理由なところで、このタイトルに「人と自然の関わり方を考える」というテーゼ(初めに立てられた命題)の出し方が1つあったと思うんですね。

そういう意味で、今井監督の「命に向き合う1つの立場・心の在り方」、やはり人間は1つの生き物・動物の仲間ですから生きた命をいただきながら生きていく・命をつないでいくという体験を持っている。そこで改めて自然の本能と生きるというあり方を、今井君は2作を通して考えてきたんじゃないかと。これは忖度をしたわけですけれど。そんな中で僕は彼とずっと付き合って来ました。

 

    

 

監督:今井友樹/2018年/42分/制作:工房ギャレット/企画・製作:加賀市文化財総合活用事業実行委員会

*7月12日午後7時から大竹財団会議室で上映会。定員30名(要予約)03-3272-3900

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