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映画紹介:だれもが愛しいチャンピオン~1人ひとりオンリーワン
Categories: 文化・アート

© Rey de Babia AIE, Peliculas Pendelton SA, Morena Films SL, Telefónica Audiovisual Digital SLU, RTVE

プロ・バスケットボールのサブコーチ・マルコは“負ける”ことが大嫌いなアラフォー男。ところが短気な性格が災いして問題を起こし、チームを解雇されてしまいます。

その上、飲酒運転事故を起こし、判事から社会奉仕活動を命じられたマルコは、知的障がい者たちのバスケットボール・チーム“アミーゴス”を指導するはめになってしまいます。

アミーゴスの自由過ぎる言動にはじめは困惑するマルコでしたが、彼らの純粋さ・情熱・豊かなユーモアに触れて一念発起、全国大会でまさかの快進撃を見せます。

知的障がい者に対して「知恵遅れ」という差別用語を使っていたマルコでしたが、アミーゴスのコーチを務めるうちに、自分の弱点を克服していきます。

マルコとの間に子どもを欲しがるパートナーのソニアに対して、40歳を超えて初産の場合、障がいを持つ子どもが生まれる可能性が高まるという思いからずっと逃げ続けていましたが、「チームに新しいメンバーを加えよう」と言うまでに変化するなど、人として成長していく姿が描かれており、とても温かい気持ちになりました。


© Rey de Babia AIE, Peliculas Pendelton SA, Morena Films SL, Telefónica Audiovisual Digital SLU, RTVE

アミーゴスのメンバーは、実際に障がいを持つ600人もの中からオーディションで選ばれた10人(髪の色をしょっちゅう変えるセルヒオ、みんなの盛り上げ役パキート、わけあり経験者ロマン、水が嫌いなフアンマ、指先で器用にボールを回すマヌエル、愛されキャラのファビアン、クリエイティブなマリン、外見はハッピーだけど中身は傷心ヘスス、吃音症のスリーポイントシューターのベニート、唯一の女性プレイヤーで果てしない自信家コジャンテス)のキャラクターがすごく魅力的なので、チームが大会で勝ち進んでいくことが自分のことのように嬉しくなりました。

決勝戦がおこなわれるカナリア諸島への飛行機やホテルなどの遠征費用を捻出するための作戦や、予想を軽々と超える試合結果など、脚本も素晴らしく、終盤は感動の涙が溢れ続けました。

邦題は内容をうまく表していると言いがたい作品が結構ある中で、本作については、筆者にとっても最高の結末をうまく言い表しており、とてもセンスがいいと思いました。 2018年のスペイン映画の年間興行収入第1位を獲得し、ゴヤ(スペイン・アカデミー)賞では11部門にノミネートされて作品賞を含む3部門で見事受賞、アカデミー賞外国語映画賞のスペイン代表作品に選出されたのも納得です。【前川史郎】


    

公式ウェブサイト
2018年/スペイン/118分/監督:ハビエル・フェセル/太秦