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WITHコロナの時に〔5〕韓国の労働事情に視る
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新型コロナウィルスの感染者急増に伴い、日本全国に「緊急事態宣言」が発せられました。それ以前の自粛要請から、対象となった事業や一斉休校に伴う生活や仕事への影響は、計りれないものがありました。

医療機関や従事者への対策・補償が最優先であることは言うまでもありません。けれども、眼に留まりにくく、平時でも社会保障・生活補償が行き届いていない人たちにも、死活問題が起きています。

最初の感染拡大よりも感染者数が増えているWITHコロナの時に、ウェブマガジンのたる的に必要と考えることを発信します。【宮沢さかえ】

第5回は、「韓国の新型コロナウィルス感染症=COVIDー19対応雇用維持政策と社会的対話の行方」です。ソウル市在住の金直洙=キム・ジクスさんによるレポートです。

COVID-19発生後の労働事情

COVIDー19発生以降、できるだけ外出を控える人びとが増加し、流通・宅配労働者の業務が増えた。ほとんどの宅配労働者たちは、特殊雇用労働者として劣悪な賃金や労働条件、過剰労働に苦しんでいる。COVIDー19のため、宅配労働者・貨物運送労働者・看護師などの医療従事者の労働強度が上がる一方で、 安全対策もなく倒れる事例が後を絶たない。

一方で、業務が減ったりなくなる職種もある。中小企業などの廃業や縮小などにより、解雇または無給休職を強要される事例も少なくない。非正規労働者はもちろん、航空業や観光業の労働者は生存を脅かされている。政府の休業手当を受けることができる雇用維持支援金対策は、その支給の範囲が狭くて、非正規労働者には適用されない場合も多い。

2020年4月、長時間労働を訴えている全国宅配連帯労働組合
毎日労働ニュースより

労働者に対する補償・支援策

COVID-19の影響は、政府統計でも確認できる。統計庁の経済活動人口調査によると、COVID-19が本格的に影響を与え始めた3月から5月まで、全体就業者数は2月に比べ87万人減少し、公式の失業者は31万人増えた。一時休職者は3月=161万人、4月=149万人、5月=102万人で、3カ月連続で100万人を超えた。

さらに、非正規職・女性・高齢者・日雇いなど相対的に失業保険加入率が低い社会的弱者に不利益が集中している。しかし、政府のコロナ対応は雇用保険加入者との正規職を中心に設計されて、COVIDー19対応としての雇用維持政策は雇用維持支援金・無給休職支援プログラム・企業資金支援と雇用維持の連携・特別雇用支援業種指定などが代表的である。

雇用維持支援金は失業保険基金を活用し、COVIDー19被害によって雇用調整を避けられなくなった事業主が、一時的な休業・休職を実施すると政府が休業・休職手当の最大90パーセントを支給する制度である。

無給休職支援プログラムは既存の3カ月の有給休業後90日以上無給休職を許容する制度に対して、有給休業の要件を1カ月に緩和する上で月に50万ウォン(4万9500円=20年8月現在)ずつ、最大3カ月支援するプログラムである。

特別雇用支援業種の場合、有給休業の要件なしで無給休職支援金を支給する。企業資金支援と雇用維持の連携政策は、一定規模以上の中小企業および大企業が資金利用の際の雇用維持努力を誘導する制度である。

COVID―19の影響は、政府統計でも確認できる。統計庁の経済活動人口調査によると、COVIDー19が本格的に影響を与え始め3月から5月まで、全体就業者数は2月に比べ87万人減少し、公式の失業者は31万人増えた。一時休職者は3月=161万人、4月=149万人、5月=102万人で、3カ月連続で100万人を超えた。

さらに、非正規職・女性・高齢者・日雇いなど相対的に失業保険加入率が低い社会的弱者に不利益が集中している。しかし、政府のコロナ対応は雇用保険加入者との正規職を中心に設計されて、COVIDー19対応としての雇用維持政策は雇用維持支援金・無給休職支援プログラム・企業資金支援と雇用維持の連携・特別雇用支援業種指定などが代表的である。

雇用維持支援金は失業保険基金を活用し、COVIDー19被害によって雇用調整を避けられなくなった事業主が、一時的な休業・休職を実施すると政府が休業・休職手当の最大90パーセントを支給する制度である。

無給休職支援プログラムは既存の3カ月の有給休業後90日以上無給休職を許容する制度に対して、有給休業の要件を1カ月に緩和する上で月に50万ウォン(4万9500円=20年8月現在)ずつ、最大3カ月支援するプログラムである。

特別雇用支援業種の場合、有給休業の要件なしで無給休職支援金を支給する。企業資金支援と雇用維持の連携政策は、一定規模以上の中小企業および大企業が資金利用の際の雇用維持努力を誘導する制度である。

雇用維持政策の問題点

しかし、基幹産業安定基金を除いて政府が企業支援の際の雇用維持努力をどのように監督するのかが、確かではない。法律上に雇用維持努力が明文化されているのは、基幹産業安定基金制度が唯一である。基幹産業安定基金は、まず航空業・海運業などの業種の中で総借入金5億ウォン(4450万円)以上・労働者数300人以上の企業に適用される事になった。ただ、「一時的解雇禁止」ではなく「雇用維持労使共同努力」であるため、実効性を期待しにくくなっている。

韓国政府のCOVIDー19雇用対策の最大の問題点は、雇用保険の死角地帯に置かれている労働者が排除されている点である。特殊雇用労働者・超短時間労働者など、雇用保険に法律的に登録することができない「適用除外」労働者だけでなく、雇用保険の適用対象でありながら実際は加入していない零細事業所の労働者など未加入者は、雇用維持支援金・雇用安定資金・無給休職支援プログラムなど雇用保険の加入を条件とするコロナ対策からも排除される。また、派遣など間接雇用の場合は、雇用保険に加入していても労働力が常時変動する事業特性により、雇用維持支援金制度の活用が事実上不可能である。

一方でCOVIDー19による失業や所得の減少に対する支援政策としては、地域雇用対応特別支援事業と緊急雇用安定助成金が代表的である。地域雇用対応特別支援事業は、特殊雇用労働者やフリーランス・無給休職者など26万人を対象とした所得支援対策である。一定規模未満の事業所の無給休職労働者・5日以上仕事を休んでいるなど所得が25パーセント以上減少した特殊雇用労働者に1人当たり最大月に50万ウォンずつ2カ月間支援金を支給する。

緊急雇用安定資金は、雇用保険の死角地帯である零細自営業者・特殊雇用労働者・無給休職者など93万人を対象に、月に50万ウォンずつ3カ月間支給する。世帯所得が中位所得の150パーセント以下である場合、または申請人本人の年収が7000万ウォン(623万円)または年間売上が2億ウォン(1780万円)以下の場合を対象とする。

しかし、雇用保険の死角地帯を対象とする支援対策も穴だらけであって、実効性を期待することが難しい。去年の8月の時点で、雇用保険未加入者は就業者の半数を超える1383万人に達している。これに比べて地域雇用対応特別支援事業や緊急雇用安定助成金の対象は、119万人に過ぎない。支援金額も月に50万ウォンずつ、最大3カ月続いても生計維持の目的には非常に物足りない。

政府は、COVIDー19危機局面で最初に犠牲にされている特殊雇用労働者・派遣や下請けなど間接雇用労働者・5人未満の零細事業所場の労働者・無給休職者など、社会的弱者をずっと死角地帯に放置している。

2020年3月、仁川空港で特別雇用地域指定を求める公共運輸労働組合
毎日労働ニュース


求められる社会的弱者=死角地帯への対策・支援

COVIDー19という前例のない危機に効果的に対応するためには、死角地帯に置かれている労働者のための画期的な雇用維持と所得支援対策が必要である。その中で大統領が全国民の雇用保険を約束したのは、歓迎されるべきことである。

間もなく与党は、自営業者と小商工人を除く実質的にすべての労働者を対象とする雇用保険法改正案を国会に発議した。法案は「労務を提供し、対価を受ける人」を対象とすることで、特殊雇用労働者はもちろん、フリーランス・プラットフォーム労働者も含めている。一方、企業に対する支援制度は、解雇禁止や労働者生計支援などとともに導入されるべきである。特に雇用維持支援金を受けても解雇回避努力をしていない企業に対する制裁は、必ず必要である。

解雇禁止など、より積極的な雇用維持政策は労使政委員会で議論されたが、最終的に全国民主労働組合総連盟=民主労総は合意案を拒否した。1998年以降、民主労総はずっと社会的対話に否定的だった。当時の労使政合意により、リストラと派遣労働に対する規制が緩和されたのがトラウマになっているからである。しかし、今回は違った。「労働尊重社会」を公約したムン・ジェイン政権への期待があったからである。

ムン・ジェイン大統領就任後の動きとして視る

ムン・ジェイン大統領就任後、民主労総委員長を含む労使政代表が参加する新しい社会的対話機構である「経済社会労働委員会」が発足した。しかし、数カ月後民主労総は委員会を脱退した。そもそもムン・ジェイン大統領は、就任直後「公共部門非正規職ゼロ」を宣言した。そして、最低賃金を大幅に引き上げると約束した。ILO中核条約批准や週52時間労働上限制の確立も公約した。

結論から言うと、 大統領の公約は何1つ守られなかった。公共部門の非正規職の正規職転換は子会社設立の許容を通じて、最低賃金引き上げは算入範囲の拡大を通じて、週52時間上限制は弾力勤労制の導入を通じて、すべてが無力化された。名ばかりの改革に抗議した民主労総を、政府は逆に非難した。それでも民主労総はCOVIDー19による災害状況に直面し、進んで臨時的な労使政対話を提案し再び開かれた。

しかし、今回の労使政合意案には民主労総の主な要求(解雇禁止・生計所得保障・全国民雇用保険・傷病手当)が何1つ反映されなかった。重要な要求を1つ貫徹していないうえに、労働界が譲歩すべき内容を中心に構成されている。合意案には「労働界はCOVIDー19危機による売上急減など経営危機に直面した企業で労働時間の短縮・休業や休職など、雇用維持のために必要な措置をとる場合これに積極的に協力する」という内容を核心とする。

結局、政府は民主労総抜きで労使政合意を発表する上で、これからの社会的対話からも民主労総を排除すると宣言した。もはやこんな政府を「労働尊重社会」を進めているとは言えないだろう。

【社会公共研究院  研究委員金直洙】

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