ウェブマガジン・のたる
WITHコロナの時に〔7〕なんでも相談会に視る



新型コロナウィルスの感染者激増(第3波)に伴い、1月17日現在、11都府県に2度めの「緊急事態宣言」が発せられています。以前の自粛要・緊急事態宣言から、対象となった事業や一斉休校に伴う生活や仕事への影響は、計りれないものがありました。

医療機関や従事者への対策・補償が最優先であることは言うまでもありません。けれども、眼に留まりにくく、平時でも社会保障・生活補償が行き届いていない人たちにも、死活問題が起きて、いよいよ深刻化しています。
最初の感染拡大よりも感染者数が増えているWITHコロナの時に、ウェブマガジンのたる的に必要と考えることを発信します。





第7回は、「年越し派遣村のようなものが必要ではないか?」と考えた人たちが行った、「コロナ災害を乗り越える12.19なんでも相談会」(主催:同実行委員会)についてです。

編集の事情で相談会から時間がかなり経ちましたが、今後継続的に必要な取り組みであると考え、掲載します。筆者も取材に行きましたが、取材に関しての主催者の指示と相談者に対して取材陣が多かったため直接コメントを取ることを断念しました。そこで、当日相談を受けていた東海林 智さんにレポートをお願いしました。【宮沢さかえ】

相談会では食料配布も行われた


日比谷公園で2020年12月19日に開かれた「なんでも相談会」に、新聞労連
(日本新聞労働組合連合)の組合員の1人として、ボランティアで参加した。08年末から09年年始にかけて、同じ公園で取り組みが行われた「年越し派遣村」を担った経験が役に立てばとの思いで駆けつけた。

 ボランティアを含め、多くの人・メディアが集まり、ざわついた様子は当時と変わらないが、助けを求めて来る人の数がずいぶん少なかった。これは、企画の失敗などではない。困窮者の質が変わったのだ。前回の派遣村は訪れた人の99パーセントが男性、さらに、多くが派遣労働・日雇い労働を経験している人だ。当時の失業状況は「派遣切り」と言われるように、製造業務が中心だった。契約途中で仕事を失い、住居(寮)を追い出された人たちが押し寄せてきた。

 今回は少し、様相が違う。製造業などは〝今の所〟、雇用が維持されているようだ。それに対して、今回は、コロナのステイホームや緊急事態宣言で大きな影響を受けた、飲食店や小売り・接客業などで困窮者が増えている。元もと、パート労働など非正規・不安定雇用が多い。前回の派遣村が、住居を失った人が圧倒的な塊となって存在し、助けを求めたが、今回は、広く、静かに困窮が広がっているように感じた。

 例えば、相談に来た人は何らかの形で住居を維持している人が多かった。もちろん、ネットカフェであったり友人宅への居候など不安定な住居ではあるが、ギリギリ野宿していないという状態だ。そう、ギリギリなのだ。所持金は1万円を切っている。今寝泊まりしている場所もいつまでもは居られそうにない……。もちろん、今を支える仕事はない。ある男性は、日雇い派遣のような形で働いていたが、1週間前に1万円になる仕事が入ったが、次に仕事が入っているのは1月25日だという。所持金は5000円を切り、明日の寝場所も定かではない。「とにかく仕事がほしい」という。「ウーバーの仕事は?」と聞くと、「ガラケーだからできない。スマホの通話料なんて払えない」と言う。僕は、ウーバーで金を稼ぎ、自身のことを「究極の自転車操業」と言っていた若い仲間を知っているが、そこにすら届かない人がいる。

 もう1つは、女性の姿が見えない。これは派遣村の時から共通している話だ。1つぼ要因は、広場に人を集めるという手法では女性の困窮者は来ることができないという問題だ。今回、女性専用のブースを作り、女性の相談員を配置した。事前にそのことがビラや宣伝で伝わっていなかったこともあろうが、利用者はほとんどいなかった。今回の新型コロナの影響では、前述したように非正規労働者が受けた影響が大きいと見られる。そうすると、本来困窮しているはずの女性の姿が見えないのは心配だ。

相談ブースに支援に来ていた新聞労連の女性は「困窮した女性と直につながる方法を考えないといけない。このやり方では女性は利用しずらい」と感想を述べていた。フードバンクなどの食料支援にはシングルマザーを中心に多くの女性が支援を求めているという。困窮している女性はいないはずはないのだ。それは女性の自殺者が急増していることをとっても、推測できる。

想像してほしい、年末に、そして年越しに住まいも住居も脅かされている人たちがどんなに心細いか。見えないからといって、困窮者がいないわけではない。今回のアクションは多くのメディアが報じてくれた。SNSでも発信された。そのメッセージは「あなたは1人ではない」という私たちの思いだ。これを受け取ってもらうには、1回限りにしないことだ。とりあえず、実行委によって場は作られた。【東海林 智】

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相談会前日には、都内で主催団体の勤務員たちが、配布用食料袋を準備していました。当日のづスタッフや会場に来る人たちだけでなく、こうして準備にあたる人たちや物資を提供する人たちの力と思いが合わさって共助が成り立ちます。

なお、20年年末と21年年初には、新宿で「コロナ支援・年越し コロナ被害相談村」が開催され、日比谷より大勢で深刻な相談があったと聞いています。