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映画紹介:「痛くない死に方」~在宅医と患者と家族の物語
Categories: 文化・アート



(c)映画「痛くない死に方」製作委員会



人は人生の最期をどう迎えるべきなのか、とても考えさせられる映画です。

柄本佑さんが演じる河田という医師が主人公。在宅医療に従事し、自分の中に矛盾や葛藤を抱えながらも、日々診療に邁進していました。しかし、ある患者の死をきっかけに、このままでいいのかと、立ち止まります。

「私が殺したんですか?」「誰が殺したんですか?」という患者の娘の言葉が、胸に突き刺さります。


(c)映画「痛くない死に方」製作委員会




在宅医の先輩である長野医師(奥田瑛二)に相談します。長野医師は、同じ在宅医ながら、河田とは患者への接し方が、まったく違っていました。家族に見守られて、静かに息を引き取っていく患者を目の当たりにし、そこから河田は目の色が変わっていきます。

数年後、そこにはしっかりと患者さんに向き合っている河田の姿がありました。末期の肺がん患者=本多(宇崎竜童)を担当することになり、最期を迎える瞬間まで、その人生に一緒に向き合います。


(c)映画「痛くない死に方」製作委員会



本多と一緒に酒を酌み交わし、心の底から笑い合う河田。それは、医者と患者のようには見えず、まるでお互いを信頼しあう友達のようでした。

「人間を好きになれ」-そんなシンプルなことが、医療の知識や経験よりも大事なことだと教わります。「医者」としてではなく、1人の「人間」として関わる主人公が、とても晴れがましく見えました。

柄本佑さんを始め、奥田瑛二さんや宇崎竜童さんなど、出演俳優の演技も素晴らしく、とても見ごたえがありました。

死に際に、その人の生き方が一番反映されるのかもしれません。どんなふうに死にたいか、それはどう生きたいかにもつながる、そんな思いを抱きました。

最期まで自分らしく生きるために、ぜひこの映画を見ていただきたいです。【山口亜希子】



   

■ 「痛くない死に方」公式サイト
監督:高橋伴明/2021年/112分/原作:長尾和宏/配給:渋谷プロダクション
2021年2月20日よりシネスイッチ銀座で公開中、ほか全国順次公開

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