
いろいろ考えさせられる迫力ある映画でした。スマホ依存・SNS・性的犯罪・児童虐待--現代をとりまく問題を直視した、かなりリアルなドキュメンタリーです。
チェコ発の実験的映画「SNS-少女たちの10日間-」は、企画の発想が斬新です。スタジオに作られた子ども部屋のセットに、3人の大人の女優が12歳の少女を演じて10日間を過ごします。SNSで友だち募集をすると、成人男性たちがすぐにコンタクトをとり、性的欲望で少女たちを追い詰めていきます。これが現実かと思うと、卒倒してしまいそうでした。

監督やプロデューサーに加えて、スタッフには精神科医や弁護士などもいて、3人を見守りながら撮影を続けていきます。児童虐待という深刻な問題がリアルに映し出され、この映像はリアルな犯罪の証拠として、警察も動かしたそうです。

子どもはどうしたって弱いのですから、大人が危害を加えてはいけないのです。子どもを守るためにどうしたらいいのかを考えるとともに、自分の欲望だけのために少女に接近する大人たちが減ることを願ってやみません。
「映像の力で社会の問題を浮き彫りにし、良い方へ変えていきたい」そんな制作者の覚悟も感じられる、すごみのある作品です。
【山口亜希子】
■ 「SNS-少女たちの10日間-」公式サイト
監督:バーラ・ファルヴォバー ヴィート・クルサーク/チェコ/104分/R-15指定/配給:ハーク
2021年4月23日からヒューマントラストシネマ渋谷、新宿武蔵野館、池袋シネマロサほかで公開中