
©SAKAE ASADA
鳥取県智頭町にある新田(しんでん)サドベリースクール。
ここでの日常を1年以上にわたって追いかけたドキュメンタリー映画で
す。

子どもたちは屋根の上で過ごしたり、そこから飛び降りたり、いわゆる先生が教える授業は行われておらず、その場所で自由に好きなことをして過ごしています。
自由だからこそ、退屈になることもあり、そんなときは、自分たちで興味のあることを見つけて深堀りしていきます。

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この映画をみていると、「本来学びとは生活や遊びの中で生まれてくるものだ」、そんなことを思わされます。いわゆるふつうの「学校」では、先生が黒板の前に立ち、生徒が話を聞くというスタイルですが、それすら「?」と思うほどになってきます。
子どもたちは、お店を開くために、地域の長老に交渉したりお金を計算したり、さらにスクールのスタッフを選ぶ選挙さえも、自分たちで行っていきます。

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1年の月日の中で、子どもたちはもちろんですが、大人たちも葛藤しながら迷いながら前へ進んで、それぞれの道を選択していく姿に、涙しました。
「学校とは」「教育とは」「学びとは」「成長とは」いろいろなことを考えさせられる映画です。私自身、子どもたちにも、何かを押しつけないか、そして、会社で働くスタッフのみんなにも、彼らの自主性を奪ってないか、と考え直しました。
見ることで、自分への問いかけが増える映画だと思います。ぜひ、ご覧ください。
【山口亜希子】
*サドベリースクールとは:子どもの主体性を尊重した自由教育を実践する米国マサチューセッツ州のサドベリー・バレー・スクールをモデルに、地域の子育て中の親たちが中心となって2014年に開校したオルタナティブスクール。「民主主義の学校(デモクラティック・スクール)」でもあり、大人も子どもも対等に話し合う場作りをモットーに運営されている。国の認可校ではないものの、スクールの理念に惹かれた子どもから不登校だった子どもまで様々な生徒が在籍している。

横浜・シネマジャック&ベティにて12月3日まで公開中、全国各地で公開予定あり
監督:浅田さかえ/2021年/108分/配給:グループ現代
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