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ビキニ事件はまだ終わっていない~被ばく船員訴訟支援プロジェクト

ビキニ事件とは

米国は、マーシャル諸島ビキニ環礁周辺で1954年3月1日から5月14日までの期間に6回の水爆実験を行いました。3月1日に実験した「ブラボー」は15メガトンでヒロシマ原爆の1000倍の威力を持った水爆で、放射性物質が米国の想定を上回る規模で広がり、この時操業中だったマグロ漁船「第五福竜丸」が被ばく。その後、無線長の久保山愛吉さんが亡くなりました。ヒロシマ・ナガサキに続くビキニでの被爆を機に国内で原水爆禁止運動が高まります。

ひめ丸乗組員


ビキニ事件への補償

米国・ソ連(現ロシア)の核開発競争で優位に立とうとする米国は、国際法違反の水爆実験を継続していくために、実験被害は小さく放射能汚染も海洋で薄められ問題ないとし、「ビキニ事件」は第五福竜丸のみの被災で政治決着を急ぎました。けれども、1954年末までに汚染されたマグロを廃棄した漁船は全国で延1000隻にも上り、その内高知のマグロ漁船は延270隻にも上っていました。
55年1月4日、日本政府は、米政府の損害賠償でも慰謝料でもない「見舞金1200万ドルで「一切の損害に対する請求を最終的解決として受託する」として、米国に対する損害賠償請求権をこの時に放棄しました。
見舞金の200万ドルのほとんどは漁業の損失に当てられ、第五福竜丸乗組員以外の乗組員に補償として行き渡ることはありませんでした。継続的な健康調査も、第五福龍丸の乗組員に限られました。他の乗組員にも健康障害に注意する必要がありましたが、身体への被ばくの事実は知らされず、多くの同僚が若くしてがんなどで病没していることに不安を感じながらも、なす術がありませんでした。

1985年から、幡多高校生ゼミナールの学生と教師たちが高知で当時の船員たちを訪ね歩き実相を可視化厚生省(当時)に突きつけますが「第五福竜丸以外の漁船の実態・数字について掴んでいない」とと答弁しています。しかし、事件から60年後の2014年の公文書開示請求によって、ついに厚生労働省が文書を開示。延べ556隻分の放射能検査や、漁船員の血液・尿検査記録を開示しました。核実験の人的被害を裏付ける公文書に加え、専門家によるビキニ事件と元漁船員の被ばくについて、因果関係が科学的に立証され、高校生たちのビキニ核被災事件調査は立証されることとなりました。

第2回公判=2022年9月2日

国家賠償請求訴訟

2016年5月、元船員や遺族ら45人が「情報が隠されたことで補償を求める機会を逸した」などとして国を相手に国家賠償訴訟を起こしますが、高知地裁は18年7月、被災から20年の「除斥期間」を経過していることなどを理由に棄却。高松高裁に控訴したたかいましたが、高松高裁は高知地裁の決定を支持し原告らに棄却判決を下す不当判決でした。

しかし両判決は、核実験に使用された水爆の方が、原子爆弾よりもはるかに強力で広範囲に放射性降下物の被害を発生させたことが判明していること。これによる健康被害を等閑視することなく、その救済が同様に図られるべきという主張は理解できるとし、元船員の被ばくの事実を認め、立法府・行政府に救済の道を促す内容が示されました。つまり、被災者はまだ救済されていないので救済されるべきだとしたのです。
水爆実験によって被災した元漁船員は85歳を超えており、一刻も早く救済の道を測ることを重視し、原告らは、国賠訴訟から行政訴訟へと切り替へ、高知地裁での損失補償を求める裁判、東京地裁での労災認定却下取り消しを求める裁判と、2つの裁判をたたかっています(詳細な提訴内容はクラウドファンディングページを参照ください)。

裁判支援をクラウドファンディングで

2つの裁判は、原告19名、弁護士24名(高知24名、東京24名)でたたかっています。
ビキニ被災船員訴訟を支援する会は、9月1日よりご案内のクラウドファンディング「ビキニ被ばく船員訴訟支援プロジェクト」を立上げ、見込まれる裁判費用1000万円のうち500万円以上をクラウドファンディング(期間9月1日~11月30日)で募ることで、裁判をささえたいと取り組んでいます。
「ビキニ事件」は、戦後の闇に葬られた未解決の人権侵害事件です。世界は、核兵器禁止条 約第6条・7条にもとづいて被ばく者の救済を求めています。元漁船員に残された時間はわずかです。1日も早い救済が実現することを願い、そのために多くのみなさんのご支援で裁判を支えていただきたくお願いします。

【ビキニ被ばく船員訴訟を支援する会CFプロジェクト責任者:岡村啓佐】

クラウドファンディングページ

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