ウェブマガジン・のたる
職業がんをなくすために〔5〕労災不支給取り消し訴訟地裁判決を受けて
Categories: 労働問題

仕事で使用する化学物質が原因で発症するがん(職業がん)が、労災と認められる件数は非常に少ない。国際がん研究機関(IARC)は、年間新規がん患者の内4パーセントが職業性がんであると推定しています。日本の2019年の新規がん患者はほぼ100万人で、その4パーセントは約4万人になります。けれども、アスベストが原因の肺がんと中皮腫で労災と認められたのは20年度でわすかに約1000件です。

21年2月11日にのたるで紹介した、労災不支給取り消し訴訟は原告の請求棄却の判決(東京地方裁判所)でした。この判決に対する原告の見解を寄せてもらいました。これまで氏名を伏せてきましたが、公表することにしたとのことで、記名で掲載します。1部分編集済み

【宮沢さかえ】

裁判報告集会=2022年10月14日 都内


福助従業員の原告・古川仁が膀胱がんを発症した件で国に労災不支給取り消しを求めたことについて、2022年10月14日東京地方裁判所は棄却との判決を言い渡しました。

膀胱がんの主な原因は、喫煙か染料など有害化学物質にばく露したものとされています。また立証責任については、原告労働者は何も説明を受けずに一生懸命に作業に従事した結果がんになったことが推認されるのだから、蓋然性で判断し原告に厳密な立証責任を求めるべきでないと思います。裁判所の判断は全く不当なものであると認識しています。

現在芳香族アミン一般の発がん性については研究途上であり、発がん性の可能性を指摘されるにとどまり、発がん性を認めるに足りないとのことに注視しています。労働者は発がん性の可能性を指摘されながら、不確定要素の中で生活のために危険な労働を迫られ職業がんになっても労災認定すらされない。現代において、このような労働弱者切り捨ての労災制度はあってはならないと思います。労働弱者救済の立場から労災認定するべきである、と考えます。

ここまで厳密な立証責任を求められるなら、弱い立場の労働者誰や働くもの誰もが、今後も安心して安全に作業に従事できる環境・社会ではないと考えます。人体実験が並行して進行中の世の中であるのなら、せめても運悪く災難に遭った人は救うべきです。

また労働弱者救済の立場から、国側が業務起因してないことの立証責任を負うべきだと思います。【古川仁】

「職業がんをなくすために」シリーズ