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放射能の単位とその危険性のお話〔前編〕

 

 放射能の大きさには主に、3つのあらわし方があります。シーベルト(Sv)は、「放射線が人間のからだに与える影響の強さ(危険度)」。ベクレル(Bq)は、「放射性物質が1秒間に出す放射線の数」。グレイ(Gy)は、「放射性物質の出すエネルギーの合計」。

■ 放射線の場合、体温が0.000239℃上がるくらい浴びると即死

 放射性物質が核分裂して、α線、β線、γ線、中性子線を出すとき、そのエネルギーの総合計を熱量の単位で表したものがグレイ(Gy)です。放射線を浴びた1kgの物体
が1Jの熱を得たときに、1グレイ(Gy)浴びたと言います。

 原子力災害特別措置法では、1グレイ(Gy)=1シーベルト(Sv)です。1グレイ(Gy)浴びるというのは、即死のレベルです。

 しかし、このとき人間に与えられた熱量は、体温を0.000239℃上昇させる熱です。お風呂に入っても、体温が1~2℃上がります。

 この人間を死亡させる放射線のエネルギー1グレイ(Gy)と実際に熱量換算した体温上昇の0.000239℃とのギャップは、放射線が細胞というミクロの世界を走りぬけ、その生体構造をめちゃくちゃに破壊するという性格の違いによるものです。

■ 外部被ばくを表すミリシーベルト(mSv)という単位~一般人の被ばく許容線量は1ミリシーベルト(mSv)

 

放射能単位の意味

シーベルト(Sv)・ミリシーベルト(mSv)・マイクロシーベルト(μSv)

 

 α線(アルファ線)は、一番危険です。次にβ線(ベータ線)。放射線が人間に影響を与える危険度がシーベルト(Sv)です。

                 シーベルト(SV)への換算
 α線(アルファ線)      グレイ(Gy)を20倍する
 β線(ベータ線)        グレイ(Gy)を5倍から10倍する―これを1倍とす
                 る学者が多い。
 γ線(ガンマ線)・X線    グレイ(Gy)と同じ(1倍)
 中性子線           グレイ(Gy)の5倍から20倍

 つまり、α線(アルファ線)は、20倍の危険度で考えているのが、シーベルト(Sv)という単位です。

 この単位系には、3つの単位があります。シーベルト(Sv)とミリシーベルト(mSv)とマイクロシーベルト(μSv)です。最後のマイクロシーベルト(μSv)は普通、マ
イクロシーベルト毎時(μSv/h)と、1時間あたりの放射線量で使います。

 この3つの違いを理解することが放射線の危険性を理解することにつながります。シーベルト(Sv)からミリシーベルト(mSv)への単位は1000分の1。1ミリシーベ
ルト(mSv)から1μSv(マイクロシーベルト)へも1000分の1です。

 つまり、1シーベルト(Sv)   =1000ミリシーベルト(mSv)
     1ミリシーベルト(mSv)=1000μSv(マイクロシーベルト)
です。

 そして、3つの単位の意味を知ることも大事です。

・1シーベルト(Sv)は即死の単位です。正確には、2シーベルト(Sv)で5%即死、4シーベルト(Sv)で50%、8シーベルト(Sv)で100%即死です。

・1ミリシーベルト(mSv)は一般人の被ばく年間許容線量です。これは安全な数値ではありません。それが1ミリシーベルト(mSv)浴びると、1万人に1人~4人のがん
死が増えるレベルです。

・1マイクロシーベルト毎時(μSv/h)は、福島第一原発が3月12日から3月15日にかけて、1号機~4号機まで爆発を起こした後、3月15日に埼玉県さいたま市で観
測した値です。埼玉県衛生研究所のモニタリングポスト(地上18m)が3月15日午前11時に観測史上最大の1.22μSv/h (マイクロシーベルト毎時)を記録してい
ます。これは異常な値で、もしこのまま1年間続くとすると、年間10ミリシーベルト(mSv)に相当します。3月15日は地表では、だいたい3時間くらい1.0μSv/h (
マイクロシーベルト毎時)を超えていたと言われます。

放射線測定量

埼玉県川口市A中学校大気中の放射線量=2011年3月15日測定量により筆者作成

 

■ 0.16マイクロシーベルト毎時(μSv/h)を超えると年間被ばくが1ミリシーベルト(mSv)を超える

 1時間あたりの空間放射線量(マイクロシーベルト毎時 μSv/h)から、年間の被ばく線量(ミリシーベルトmSv)を計算する方法は、×24時間×365日=×8760
です。8、7、6と1ずつ数字が下がっていき最後に0をつける、という覚え方もあります。概算として、簡単に「9000倍する」という方がわかりやすいと思います。

 埼玉県さいたま市で、現在通常観測される値は、屋外で0.10~0.18ぐらいです。これは、福島原発事故が起きるまでの数値0.03~0.06マイクロシーベルト毎時(μSv/h)から比べると、約2倍から3倍の数値です。常に放射性物質が上から降ってくる状態と言えます。もともとある自然放射線を0.05マイクロシーベルト毎時(μSv/h)とすると、0.16マイクロシーベルト毎時(μSv/h)を1年間浴びると、もう一般人の年間被ばく許容線量の1ミリシーベルト(mSv)に達します。
    0.16-0.05(自然放射線 バック・グラウンドと言います)=0.11
    0.11×9000=990 マイクロシーベルト(μSv) 
    ⇒0.99ミリシーベルト(mSv)≒1ミリシーベルト(mSv)

 もし、あなたの街の空間放射線量が0.27マイクロシーベルト毎時(μSv/h)だったら、年間の被ばく放射線量は2ミリシーベルト(mSv)になります。0.38マイク
ロシーベルト毎時(μSv/h)なら、3ミリシーベルト(mSv)に、0.49マイクロシーベルト毎時(μSv/h)なら、4ミリシーベルト(mSv)に、0.60マイクロシーベ
ルト毎時(μSv/h)なら、年間被ばく放射線量は5ミリシーベルト(mSv)になります。

 フランスの民間団体IRSNは、「年間被ばく放射線量が5ミリシーベルト(mSv)の地域である、福島県全域・宮城県南部・茨城県北部の人々を避難させよ」と呼びかけています。

 もし、あなたの街が0.60マイクロシーベルト毎時(μSv/h)になったら、真剣に居住地を変えることを考えなくてはいけないと思います。                 【川根眞也】

市民の外部被ばくレベル

文科省のSPEEDIを元にIRSNが作成した被ばく地図(日本語訳=真下俊樹・地名と見出し、凡例=川根眞也)

 

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