ウェブマガジン・のたる
樋口健二さいたま講演会~衝撃的な写真が見る者を圧倒

 

去る3月4日、さいたま市与野本町コミュニティセンターにて報道写真家・樋口健二さいたま講演会「3.11から1年 絶対に原発を稼動させてはいけないこれだけ危険な現実」(共催:ウェブマガジン・のたる/内部被ばくを考える市民研究会/週刊金曜日 川越・ふじみ野読者会/週刊金曜日 浦和読者会/市民じゃ~なる/東村山で避難者と福島のことを考える会 協賛:週刊金曜日)が開催され、約70人が参加しました。

 

川根眞也さん

川根眞也さん=内部被ばくを考える市民の会代表・さいたま市立中学校教諭

当ウェブマガジン・のたる宮沢さかえ編集長の開会のあいさつに続いて、内部被ばくを考える市民研究会代表・川根眞也氏より福島第一原発事故による放射能汚染の実態についての報告がありました。川根氏は、さいたま市内の公立中学校で教鞭を執っており、子どもたちと身近に接している立場から、特に子どもたちの内部被曝の危険性について首都圏を中心に精力的に講演活動をしています。

川根氏の話の中で非常に驚いたのは、予想以上に首都圏の放射能汚染が進んでいるということでした。具体的には、昨年5月中旬の時点で福島県を含む8県から農林水産省が設定した利用できる牧草の基準値を超える放射性物質が検出される結果が出たことを受けて、川根氏が給食で出される牛乳を飲むのを止めたことや、今年3月1日にさいたま市内の中学校で川根氏自身が測定した空間放射線量が最大1.41μSv/h(マイクロシーベルト・毎時)という高い値を示したことです。

また、放射性物質の内部被曝が低線量と言えども、いかに我われの免疫システムに異常を来たすものか、ガンを発症する危険性がいかに高いか ということをチェルノブイリ原発事故での実例を挙げながら、非常に解りやすく解説してくださいました。

樋口健二さん

樋口健二さん=報道写真家

続いて樋口健二氏の講演が行われました。樋口氏は、1960年代の四日市公害問題から、公害・環境汚染・労働災害等の問題を取材し、数々の現場をシャッターに収めて来ました。中でも特に力を入れて取材して来たのが原子力発電所で働く労働者の実態です。御年74歳とは思えない、非常に聴く者を圧倒する迫力のある話し方が印象的でした。

まず講演の冒頭で、福島第一原発事故の直後に浪江町からさいたまスーパーアリーナに避難されてきた方がたを撮影していたところ、素性のよく分からない係員にカメラを取り上げられ、撮影データを消されてしまった(再度変装して潜入、撮影・取材には成功したということでした)こと、飯館村等の取材を行った後、血液内の白血球が異常に減少してしまったことなど、撮影した写真を交えてなまなましい話でした。

それから、日本のエネルギー産業の流れ・原発の輸入経路・原発の下請け労働者の作業の実態等について図表を使い解りやすい解説をしてくださいました。

そして、樋口氏が今まで撮りためてきた写真について紹介をしてくださいました。敦賀原発の内部・原発の内部で防護服を身に付けた作業員の姿・作業後のホールボディカウンター検査の様子・美浜原発近くの海で海水浴をする家族連れの姿など、一枚いちまいが非常に衝撃的で見る者を圧倒するものでした。

 

樋口健二さいたま講演会

会場の様子(明るさ調整しています)

樋口氏の講演終了後、川根氏を交えて、会場のみな様からの盛んな質疑応答が行われました。

最後に、今回の講演会にあたり協賛して頂きました週刊金曜日発行人・北村肇氏から寄せられたメッセージをご紹介させて頂きます。

〈当たり前のように夏が来て、秋になり、冬が訪れ、年が明けました。「3.11」後も、自然は律儀にリズムを刻んでいます。でも、「人間」が破壊した「世界」は戻りません。
「収束」など考えようもありません。なのに、政府は「福島原発事故は過去の話」といいくるめようとしています。「現実」をまったく見ようとしていないのです。
ただ、このような国に私たちが住んでいるのも「現実」です。未来を背負う子どもたちのためにも、あきらめず、倦むことなく、叫び続けましょう。
すべての原発を直ちに廃炉にせよ!〉 2012年3月4日 「週刊金曜日」発行人 北村 肇

【写真・文=齋藤 崇】

 

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