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映画紹介:「ラオス 竜の軌跡」~懐かしさがこころに漂う
Categories: 文化・アート

 

ラオスに日本がつくったナムグムダム(ラオス初の水力発電)の実話をもとにしたフィクション作品で、ラオスと日本の初合作映画(日本ラオス国交60周年記念作品)です。

 

(C)ジャパン-ラオス・クリエイティブ・パートナーズ

 

物語は、現代から1960年にタイムスリップしたノイが、ナムグムダム建設に日本から来た川井と出会い、農村で村人たちと関わるなかで気持ちが変化してく様子を描いています。

ラオスは今も国土の半分以上が高原や山岳地帯で、映画の舞台となる農村の美しい自然や穏やかな川の流れが、映画のテンポそのものに反映されています。

緑生い茂り、たわわな稲穂の実る黄金の畑・恵みの雨、日本にはない風景に引き込まれます。

ダム建設時期と重なるラオスの内戦の様子も描かれますが、説明はほとんどされていません。

映画の大きなテーマは、ラオスのあたたかな人と人のつながり。

川井は会社の命令でしかなかったダム建設に、農村での生活を経験し、「ラオスの人の生活を支えたい」という強い思いが芽生えます。

家族とけんか別れをしたノイは、川井のダム建設への思いの変化に動かされ、家族や故郷への気持ちが変わっていきます。

 

映画チラシ表

 

映画で語られますが、ラオスには人と人がつながりを絶やさないために、たくさんのお祭りがあるとのこと。映画で取り上げられるお祭りのひとつに、相手を想って手に糸をくくり合うものがあり、村人たちの気持ちがひとつになり、互いを愛しむ様子が描かれます。強烈なメッセージはありませんが、だからこそしっとりと染み入るように、懐かしさがこころに漂います。

おそらく多くの人たちが知らないであろう、ラオスと日本のつながりを掘りおこした作品です。

【山田星河】

 

    

 

■ 「ラオス竜の軌跡」公開情報はこちらから
監督:熊沢誓人/2016年/112分/配給:アーク・エンタテインメント