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反骨の画家四國五郎・ガタロ師弟展~東京・横浜で連続開催
Categories: 文化・アート

 

ギャラリー古藤は東京都練馬区・西武池袋線江古田駅から徒歩5分の所、緑濃き武蔵大学の前にある。このこじんまりとしたギャラリーのガラス扉の向こうでは、現在「四國五郎・ガタロ師弟展」が開催されている。

四國五郎(1924~2014年)は、広島生まれの画家・詩人。シベリア抑留から帰還後、生涯反戦・反核の姿勢をつらぬく。ガタロ(1949~)は広島生まれ。同市内で清掃員の仕事をしながら絵を描き続ける。2014年1月、ギャラリー古藤・スペースナナで個展が開催された(本誌掲載)。

 

ギャラリー正面

画廊に入ると目の前には、いきなりガタロの巨大な牛の作品。屠殺される前の牛の、大きく見開かれた目はとても悲しそう。その背景の空と壁はドロドロとした赤と青の絵の具が混じり合い、迫力を持ってこの展覧会のテーマを訴えかけている。

 

ガタロ作品

入り口近くには2人の自画像とガタロが描いたユーモアたっぷりの風刺画、そして中に進むと画廊左側には四國五郎の油絵、右側にはガタロの油絵と水彩画・デッサンが並ぶ。

 

「衆俗の河に生きる」

ガタロが如何に四國五郎を敬愛していたか、「衆俗の河に生きる」という額に入ったガタロの「四國五郎追悼文」にとてもよく表れている。ドンゴロス(麻袋)を縫い合わせたコート。これは四國の絵からヒントを得てガタロが制作したものである。

 

四國五郎作品

絵画の専門教育は受けてないが、デッサン・表現・技術力共に抜きん出ていた四國の作品と、感じたままを思い切り直球で描くガタロの力強い作品の対比、広島の原爆という事実から一歩もぶれない彼らの生き方をこの師弟展から感じとれる。

 

アーサー・ビナードギャラリートーク~「かたる絵とガタロの絵」

9月27日にはこの2人の作画の原点をテーマとして木内みどり氏の司会でアーサー・ビナード氏のトークが四國五郎の絵本『おこりじぞう』を中心に繰り広げられた。ここではいろいろと語られた中からいくつか紹介したい。

 

木内みどりさん(左)とアーサー・ビナードさん

 

まずはビナード氏のこの発言からトークは始まった。「僕の中で四國五郎とトランプが繋がった!」トランプ氏は9月22日、アラバマ州ハンツビルの演説で、北朝鮮の太平洋上での水爆実験に対し、Plume which causes calamity where the plume goes ,so goes cancer, so goes tremendous problems ・・・・と演説した。これは「大量破壊兵器の太平洋上での爆発は大惨事を引き起こす、癌などひどい問題を引き起こす」という意味である。plumeは羽の事。羽が先広がりするように、被害が癌が広がると言ってしまった。トランプは大統領として初めて核に対する発言を行った、とビナードは説明する。

 

『おこりじぞう』最後のページについて語るビナードさん

 

四國は絵本『おこりじぞう』で核兵器ほど恐ろしいものは無いと、子どもに分かり易いように伝えている。「四國・トランプ共に核兵器は恐ろしい、将来に被害をもたらす」と表現した事が、ビナード氏の頭の中で2人は繋がったという事である

絵本『おこりじぞう』の最後のページは原爆ドームがある焼けた町であるが、その絵の右隅に野菊が描かれている。この野菊は、未来への希望の象徴と読み解く。そして巻末のあとがきで、「この世の中でなにがこわいといって核兵器ほどこわいものはない、(略)こわいものなど描きたくはないのだが、こわいものを地上から無くするためには描かねばならない。」と書かれたこの文章こそが四國の地道な作家活動を支えていたものであり、生前の四國に会いたかったと言っていた。

 

四國五郎作『広島百橋」

 

この他、峠三吉と作った原爆詩集・辻詩の活動・四國が書きガタロがいつも持ち歩いているという『広島百橋』の話などなど、話題は様々だったが「原爆の悲惨さを伝える」というテーマをとても熱心に楽しく語る2時間であった。

この展示は10月26日より横浜のギャラリーでも開催される。また、四國五郎の事をもっと知りたい方は、永田浩三著『ヒロシマを伝えるー詩画人・四国五郎と原爆の表現者たちー』を読むとより理解が深まるだろう。【川越やよみ】

■ ギャラリー古藤ウェブサイト
東京都練馬区栄町9-16 TEI:03-3948-5328

2017年9月23日~10月22日午前11時から午後6時30分
10・16日休み
10月15日15~16時 2人芝居「ガタリズム」定員40名

■ スペースナナウェブサイト
横浜市青葉区あざみ野1ー21-11 TEL:045-482-671

2017年10月26日~11月26日午前11時~午後6時
月・火曜日休み・祝日は開店)
10月28日午後5~6時 ガタロ×永田浩三
10月29日午後1~2時 ガタロ×永田浩三 各定員30名