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第4回フードバンクシンポジウム~震災支援で見えた可能性
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 10月16日、国立オリンピック記念青少年総合センターセミナーホール(東京・代々木)において、東日本大震災とフードバンク~支援活動から見えた可能性と課題~ をテーマにした「第4回フードバンクシンポジウム2011」が開催されました。(主催:セカンドハーベスト・ジャパン

 今年のシンポジウムでは、今般の大震災における各フードバンク等の被災地への支援活動の報告と、支援活動を通して見えてきたフードバンクの可能性と今後の課題について、各フードバンクの代表など関係者からの発表とパネルディスカッションが行われました。

フードバンクシンポジウム

セカンドハーベスト・ジャパン
広報・井出留美さん

 まず第1部では、「食品企業の対応」と題して元日本ケロッグ広報室長でセカンドハーベスト・ジャパン広報担当の井出留美氏より、震災時の日本ケロッグの食料支援、個人としても被災地でボランティアとして活動した経験を踏まえた報告がありました。

 第1に日本ケロッグ社の震災対応(①義捐金の寄付 ②支援物資の提供(46万500食) ③24時間体制での食料加工品の製造(3月~8月22日) ④取材の穴埋め対応(担当役職員が震災対応でマスコミからの取材に応じられない場合に、広報室が代わって取材に応じた) ⑤情報共有を目的とした社内向けニュースレターの発行 ⑥節電対策としてサマータイム(勤務時間7:45~16:30)を導入 ⑦ボランティア休暇及び被災地帰省休暇の創設)についての発表がありました。

 第2に井出氏が震災直後の3月14日から7月14日に掛けて携った活動内容(支援物資・22万食の被災地への空路輸送手配、セカンドハーベスト・ジャパン(以下2HJ)に同行しての炊き出し・横浜から福島県南相馬市への支援物資仕分け作・、第2次支援物資・23万食の輸送手配、栄養指導を行った上での行政を介した食料の配布、石巻市への物資輸送、南三陸町への2HJ支援物資の詰め合わせ作業、ボランティア休暇を活用してのサプリメント配布など)についての報告がありました。

 井出氏はまとめとして、企業側の課題として①(被災地へなかなか必要なお金が届かない状況があったことを省み)義捐金と支援金の使い分け ②被災地への長期的支援の必要性 ③被災地支援に対する社員間の温度差 の4点が挙げられ、各フードバンクに望むこととして、①(心身の健康を保つための)栄養バランスを考えた食料支援 ②被災地への長期的支援 ③ソーシャルネットワークを活用した被災地ニーズの情報発信 ④フードバンク活動への理解者及びボランティア参加者を増やすための広報活動 の4点が挙げられました。

フードバンクシンポジウム

ワンファミリー仙台・立岡さん

 続いて、現地NPOからワンファミリーの立岡 学理事長から発表がありました。震災後の活動として、①3月12日に事務所の電気が復旧してから4月10日まで行われた、宮城県庁前での炊き出し活動(26万575食=おにぎり2万6001個・雑炊574食) ②データベース(セールスフォース)の構築(行政側も把握できる支援物資の一括配送管理システムの構築) ③仮設住宅の見守り支援体制の構築 ④2HJ及びフードバンクネットワーク(以下FBN)との連携による迅速な支援(支援物資=259箇所へ22万259個・707箱の配布)の3点が挙げられました。

 また、今後必要なFBN活動として、①行政機関との連携による入居世帯数が少ない仮設住宅(特に民間住宅を借り上げた「みなし仮設住宅」)への定期的な食事や食材の提供 ②備蓄倉庫の確保 ③地域コミュニティの維持による定期的な炊き出し・支援物資提供の必要性の3点が挙げられました。

フードバンクシンポジウム

東北AGAIN・高橋さん

 そして第1部の最後に、同じく現地NPO・フェアトレード東北調査責任者(石巻市)の阿部氏より、食事の配給や入浴施設が無い待避所の現状、身寄りが無く孤立しているお年寄りの見回り支援活動の報告がありました。FBNに今後期待することとして、生活困窮者が増えることが予想されることから、食を含めた定期的支援を訴えていました。

 第2部では、始めにふうどばんく東北AGAIN事務局長の高橋氏、フードバンク関西理事の井上氏から震災後の被災者への食料配布等の支援活動の現状報告がありました。

フードバンクシンポジウム

三菱総研・氷川さん

 

 続いて、三菱総合研究所主任研究員の永川珠恵氏からフードバンク調査アンケート結果の発表がありました。アンケート結果から見えてくる課題として、①寄付の継続性 ②災害時に殺到する物資の受け取り・保管・配送等をどうするか? ③継続的支援をどのように行っていくか? ④NPO・NGOだからこそできることは? の4点が挙げられました。

フードバンクシンポジウム

セカンドハーベスト・ジャパン
チャールズ・マクジルトン理事長

 

               フードバンクシンポジウム

 シンポジウムの最後は、2HJファシリテーターの服部氏を司会・進行役として、4名のパネリスト(先に登壇した井出氏・立岡氏と2HJ理事長のチャールズ・マクジルトン氏、新地町役場職員)と永川氏をオブザーバーとしたパネルディスカッションが行われ、被災地支援における行政とフードバンク各団体・NPO・NGOとの連携の必要性や余剰食品の問題、これからの被災地支援のあり方、フードバンクは何を訴えていくべきかといったことに関して活発な意見交換、議論が行われました。【文=齋藤 崇・写真=宮沢さかえ】