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ティモシー・ムソ―教授講演会東京~ツバメが教えてくれたこと

 

ティモシー・ムソー講演会東京

 

生物学専門のティモシー・ムソ―(サウスカロライナ大学=アメリカ)教授の講演会が7月29日、衆議院第一議員会館で行われました。「春を呼ぶフォーラム」の招聘で、7月23日から30日まで全国7カ所で行われたものです。

ムソー教授は1999年から、チェルノブイリ原発事故により放出された放射性物質が、ウクライナの鳥類・昆虫類・人類に及ぼす影響を研究しています。

 

ティモシー・ムソー教授(左)

ティモシー・ムソー教授(左)

 

チェルノブイリでの研究は、2000年に汚染地帯に入ることを許されてから、高濃度汚染地帯で896回鳥と昆虫を捕獲し調査。比較の為、イタリア・スペイン等の非汚染地帯でも調査を行っています。

 

ティモシー教授の調査研究パネルより=映写画面を撮影

ティモシー教授の調査研究パネルより=映写画面を撮影

 

それらの地域で数千羽のツバメを調査研究した結果の発表がありました。バックグラウンドの放射能の汚染度に正比例する、そこに住むツバメの内部被曝量・精子の奇形や減少、個体数の減少・外見の異常(黒毛が白くなる・腫瘍ができる・羽の形がいびつ など)が沢山の図・写真を使用して説明されました。これと同様の調査結果が昆虫にも出ているとの事でした。

福島では、2011年7月から鳥類と昆虫、12年5月からツバメの生殖・生存・遺伝子損傷の調査を開始し、現在も継続中です。調査期間が短いので科学的な結果発表は時期尚早とのことですが、ツバメの毛の白化、営巣の確率が浪江・双葉・大熊各町では他の地域より大幅に少ない などの結果が見られ、人間はこのツバメが発する警告を真摯に受け止めるべきとの見解でした。

「『チェルノブイリ+福島研究プロジェクト』は、どの組織にも属さない独立した研究者の集まり。この研究で得られた情報を皆で共有して、放射能で汚染された世界では将来なにが起こりそうか・解決するにはどのような選択肢があるか を考えていきたい。しかし、福島でのこれ迄の研究についた研究費はゼロである。そして共に研究をしている日本人の学者はいるが、彼らはこのような論文に名前を載せたがらない」

 

岡山博教授のパワーポイントより=映写画面を撮影

岡山博教授のパワーポイントより=映写画面を撮影

 

次に、コメンテーターのひとりである仙台赤十字病院医師・東北大学の岡山博教授が、「被曝をどう考えるか」というテーマで放射能の人体における影響や個人でできる対策などを。素人にもわかり易い丁寧な言葉で説明しました。

「3.11後はもうダメかと思い、殉死を覚悟で病院に戻った。フクシマ事故での危ない問題のひとつは放射能。もうひとつは自分の意見を正直に言えない社会という事だろう。自由・安全にものが言えない。放射能を話題にしてはいけないような雰囲気。ものを言えないから考えなくなって熱意もなくなる。今の日本はそういう社会になっている。事故を起こした張本人たちが今も社会のトップに立っていて、ますますものが言えない社会になっている」

 

吉澤正巳さん。右は岡山教授

吉澤正巳さん。右は岡山博教授

 

もう1人のコメンテーター、福質島県浪江町で「希望の牧場」を運営している吉澤正巳氏からも訴えがありました。本業は黒毛和牛の繁殖です。「浪江や双葉町の将来がせつない。避難民は避難所のある地域で仕事をみつけるなどして吸収されていく。除染しても人々は戻らない、自分は残りの人生、この汚染された土地で汚染された牛と生きる。自滅するわけにはいかない。ペットはレスキューされたが、家畜は殺せという。それは証拠隠滅ではないか。

真っ黒の黒毛和牛にも白い毛の点々が出ている。これを農水省の殺処分係に見せても見ないふりだ。12年5月に現地の現状把握と餌不足対策の要望書を東電に出したが、『金は払った』と言うだけ。そして、問題は農水省と文科省でたらい回しされる。汚染された牛は、将来の研究の為に役立つだろうと思い生かしているが、農水省は野生化した牛を今日もどんどん殺処分している」

会場には200人程が集まり、皆さんとても熱心に聞いていました。そして川田龍平議員と先日の参議院議員選挙で当選した山本太郎議員も参加していました。専門的な内容を先生方から聞くことができたのは、私にとって、とても有意義でした。

10社以上のプレスが参加していたとの事でしたが、記者会見では、大手メディアからの質問はなく、翌日の新聞等にも載りません。専門家だけではなく、一般市民参加型のこうした活動を続け拡散していく事がこれからの社会に必要だと思います。                        【文・写真=川越やよみ】

■ 春を呼ぶフォーラムウェブサイト